delirious thoughts

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2014年3月に読んだ本をブクログでふりかえる

今月は9冊。

なんか読了に至らなかった読みかけの本がたくさんあったのと、「「「技術的負債」を問いなおす」というタイトルでJAWS DAYS 2014で話してきた #jawsdays」のスライドを作るのにたくさん論文読んだり、書籍原稿書いたりしていて、全然読めなかったなあ。本がどんどん積まれるばかりである。

イノベーション戦略の論理』と『研修開発入門』は、それぞれは全然関係ない本だけど、自分的にタイムリーにつながりのある流れになってよかったように思う。『ソフトウェア開発はなぜ難しいのか』は、関心の強い領域に対して既にかなりいろいろ書かれた本が実はあったのを知って、なんでいままで読んでなかったんだろうと思ったのであった。

その他、これまで全然関心のなかったエスノメソドロジーって、けっこう自分がこれまでやってきたことに関連してるのかな?と思って本を読んでみたりした。その関心の動機みたいなのはよくわからないところはあるのだけど、単純に実践的に有用だろうという感じがする。

他、ローティのPhilosophy and Social Hopeを読んでる流れで『脱構築プラグマティズム』を読んだり。ローティ強し。あんま強くても面白く無いんだけど。

kentaroの本棚 - 2014年03月 (9作品)
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「「技術的負債」を問いなおす」というタイトルでJAWS DAYS 2014で話してきた #jawsdays

JAWS DAYS 2014Immutable Infrastructure(以下、II)に関するトラックに呼ばれたので、話をしてきました。Immutable Infrastructure時代のConfiguration Management Toolの要件およびその実装について最近のImmutable Infrastructureに関する議論(Orchestration編)というエントリを書いていたからということでしょう。

ただ、最近は首都大学東京ビジネススクール不合格記に書いたように、経営学関連の学習をずっと行っていて、すっかりそのような話題から離れてしまっていた、ありていにいえば特に興味を持たなくなってしまっていたので、進学していたら研究テーマのひとつにしていたであろう件について、だいぶ生煮えではあるけれども最近またそうした話題でネットが盛り上がっていたりもしたので、以下スライドにあるような話をしました。

「技術的負債」についてはよく語られ、盛り上がる、ネット上の技術論壇の定番ネタという感じで、いまさらなにか付け加えることもなかろうというものではありますが、そのあたりについていろいろ調べたりしており、巷間出回っている議論が不十分に思っていたので、この際だからとまとめてみました。しかし、本来はファイナンス理論を導きにモデルを作って検証するというプロセスを踏むはずのものなので、上述の通りまだ生煮えなものです。

とはいえまあ、あらためてTechnical Debt周りの論文、Web上の文書などを総覧して感じるのは、まだまだこの辺の議論は理論的整備がまったくもって充分には行われていない、ホットなものだなあということです。

特に、スライドにもあるように、近年の研究はネット上での議論とはだいぶ離れてきていて、かつ、ファイナンス理論の援用についてようやく端緒が開かれ始めたばかりという状況。自分自身、ざっくりとしたアイディアベースではあるものの、そうしたことを書いてきたので、発表や実践の形式は色々あるでしょうが、そういう問題についても、よりよい議論ができればと思っているところです。

また、トークの後には、トラック参加者全員によるパネルディスカッションが行われ、IIについてうるさいおじさんたちがあれこれ話すという感じでした。そこでも話しましたが、IIにせよなんにせよ、単にいままで行われてきたことに名前がついただけだよね、というものであるにせよ、そうした概念により問題についての認識が一般に可能となり、そのことでいまあるものがよりよくなっていくということはあるわけです。「技術的負債」という言葉も、そうしたものです。

ディスカッションの最後に、mirakuiさんの「Javaのようなライフタイムの長い言語によるシステムこそdisposableであるべき」という発言をうけて、「日本という国にはそうした伝統がある。伊勢神宮は長きにわたって継続してきたシステムだが、20年に一度作り替えられる。つまり、IIの前例をなしている。これを「式年遷宮アーキテクチャ」という」などといいましたが、元ネタは式年遷宮Infrastracture - さよならインターネットですので、合わせてご報告しておきます。

追記

この件、表現が難しいなあというものあって、スライドでうまく示せていなかったですね。「負債」とその「利子」というこれまでの比喩にくわえて「割引率」つまり、投資家からみるとリスク = 期待収益率であり、企業から見るとコミットすべき目標と見ることで、以下の認識利得があり得ると考えています。

  1. 劣化した比喩を精緻化することで、コミュニケーションにとっての有用性を再度高める
  2. "負債"をBSの資本構成とのアナロジーに基づき内容を分類し直すことで、それぞれに対して有効な対策を採ることを支援可能となる

(1)について。スライドのMcConnelさんのとこで引用した通り、単に「いろいろ大変なんですよー。〜が〜なって(以下、技術的詳細が続く)」というより、「負債」という、会計的な意味においてビジネスのひとたちと共通の語彙を使うことでコミュニケーションに有用とされていたわけですが、いまではその比喩の対応の少なさによって、問題が生じていることを問題視しています。

それを避けるために、もちろん「技術的負債」という言葉を使わないという選択肢はありますが、この発表では、その比喩をさらに「会計的な意味において」精緻化することで、その言葉が本来持っていた機能を回復できるのでないか、という意図を持っています。そのことにより、技術的な課題が経営層がふだん考えているような問題と対応しやすくなり、よって、そうした課題が解決されやすい状況が生まれることを期待しています。

(2)について。いままでは、全体的になんとなく「技術的負債だよねー」みたいなことになっていたわけですが、

  • 「負債」とその「他人資本調達コスト(利子)」のような、比較的安定していたり、ある程度コントロールが容易だったりするもの
  • 「資本」と「自己資本調達コスト」のような、比較的不安定であり、コントロールが難しいもの

という区分にそって技術的・組織的課題を分類することで、それぞれに対してより有効な手立てを考えられるのではないか、という感じです。

追々記

Kazuho's Weblog: 「技術的負債」をコントロールする定量評価手法への期待で言及していただきました。上述の「本来はファイナンス理論を導きにモデルを作って検証するというプロセスを踏むはずのもの」というのは、まさにkazuhoさんの記事で述べられているような定量的手法を探るということです。また、ソフトウェアエンジニアとして日々感じている技術的選択の問題についても、問題意識が一致しているように思います。

プラクティカルな定量的評価手法をどのあたりに落とすかというのは考えどころであるにしても、(進学してたら)いったん既存の議論を学習・整理した上でやってみたいと思っていたのですが、まだ具体的にこんな感じというイメージが描けていなかったので、どちらかというと定性的な面にスライドではフォーカスしている感じです。

ファイナンスとか金融工学との接合という意味では、たとえばReal Options Analysisなどは、まさに使えそうな感じがしています。ただその場合、それはつまりそういう理論を使えばいいだけなのでは?という話に限りなく近づくのかなあという気もするし、いちエンジニアとしてはそういう話でもないんだよなーとも思うので、定性的な整理というのもまた必要だとは思うわけです。

首都大学東京ビジネススクール不合格記

首都大学東京ビジネススクールの2014年度入学試験を受験し、不合格となりました。本エントリでは、この日をもって終わった久々の受験生生活をふりかえります。

受験の経緯

このブログでしばしば書いている通り、去年は勤務先でスクラムを導入したりしていました。ソフトウェア工学的な意味での開発プロセスとして興味深いのはもちろん、僕にとってそれはむしろ、組織とはなんなのか、企業組織とはいかにして可能なのか、そしていかにしてそれを良くし得るのかという、どちらかというと組織論(とか組織社会学?)的な問いを喚起するものでした。

ちょうどそういうことを考えていた折り、尊敬するジム・コープリエンさんらの『組織パターン』という本が訳されて、さっそく読みました。それがとても面白く、実践的にも役立ったので、もう少し組織論を学習してみようと思ったのです。次に読んだのが『組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)』という教科書。簡潔かつ過不足のない記述ぶりで、この分野の面白さを教えてくれる本です。

そうやってあれこれ本を読んでいるうちに、2013年の11月になりました。ふと、大学院でこうしたことについてちゃんと学習してみたいという気持ちになって、そもそもどういう学校があるのだろうと検索したところ、母校の東京都立大学(現・首都大学東京)のビジネススクールが後期日程を募集しているのを発見。院試のシーズンはもう終わったものばかりだと思っていたので来年にでもと思っていたのですが、前述の『組織論』共著者の先生もいらっしゃるし、受けてみようと思い立ったのでした。

(組織論だけでなく、経営学における他の領域(特に技術経営やファイナンスなど)にも興味があるのでひと通り学習したいというモチベーションもあるのですが、それについては省略)

試験の内容

試験要項によると、受験者は以下の3つでその資格を判断されるとのことでした。

  1. 研究計画書
  2. 小論文
  3. 口頭試問

まず、研究計画書について。そもそも僕は卒論を書かなくていい学部を出たので、論文というものを書いたことがありませんし、学士卒なので研究もしたことがありません。なので、『研究計画書』というものをどう書いたらいいのかわからない。そこで『国内MBA研究計画書』を読んで感じをつかみました。

国内MBA研究計画書の書き方―大学院別対策と合格実例集

国内MBA研究計画書の書き方―大学院別対策と合格実例集

あまりにも漠然とした内容ではよくないだろうということで、研究のフィージビリティを考慮して、かなり範囲をしぼって書きました。スクラムのうちでも、その特徴をなすリーダーシップの区分に沿って、それが実際にどのようなものとして現れるかを実証的に研究しようという内容です。以下に公開してあります。

次に、小論文。首都大学東京BSは過去問を全部Webで公開しているので、どういう問題が出るのかはあらかじめわかります。しかし、経営学一般についてこれまで特に系統的に勉強してきたわけではなかったので、ざっと見たところ、全然歯が立たなさそうな問題がいくつもありました。そこで、ひと通り教科書などを読んで学習しておこうと思い立ちました。

口頭試問については、特になにをすればよいかもわからないので、上記の準備をしっかりやっておけばだいじょうぶだろうということで、学習に専念することにしました。

受験へ向けて

上述内容の試験に向けて、2013年11月〜2014年2月の受験までに読んだ、経営学や組織論関連の書籍について書いていきます(長いです。その後に続きもあります)。

経営学一般

ゼミナール 経営学入門 ゼミナールシリーズ

ゼミナール 経営学入門 ゼミナールシリーズ

この本を読む直前に、理論社会学の本を何冊か読んでうんうんうなっていたので、異様にわかりやすくて、こんなに書かれている文章が理解できていいのだろうかと思ったりもしましたが、それはともかくとして、経営学の取り扱う領域について一望できて便利でした。

はじめての経営学

はじめての経営学

そもそも「経営学」という学問領域が、なにを含んでいるのかをあまりよく知らなかったので、ひととおりオーバービューを得られる本を、というわけで、最近出たこの本を読みました。各分野の一線で活躍されている先生方によるそれぞれの分野の紹介。

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア

これもオーバービューを知るために読んだ本。アメリカの大学で経営学研究に携わっている著者による、経営学における最先端のトピックが紹介されている。

グループ経営入門〔改訂版〕

グループ経営入門〔改訂版〕

首都大学東京BSの松田先生の本。説明会での模擬講義を聴いて、その講義ぶりに感銘を覚えたので、最新の著書を読んでみました。自分自身、企業グループのいち企業の従業員なので、いろいろ勉強になりました。

経営革命大全

経営革命大全

10年以上前の古い本で、90年代の経営学におけるブームとなったトピックについてまとめた本なのですが、その時代に関するまとめとしては非常に浩瀚にわたっていて、そのタイトルのアレな感じとは異なり、とても勉強になる本でした。

経営戦略

ソフトウエア企業の競争戦略

ソフトウエア企業の競争戦略

ソフトウェアエンジニアとしては当然、本書が話題にするソフトウェア企業の競争戦略は一番気になるところ。10年以上前の古い本ではあるものの、製品企業/サービス企業における戦略の違いや、製品企業もまたサービス企業化していく流れについてなど、得るところが多い。

組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)

組織戦略の考え方―企業経営の健全性のために (ちくま新書)

経営戦略の思考法

経営戦略の思考法

組織デザイン (日経文庫)

組織デザイン (日経文庫)

一橋の沼上幹先生の本は、『組織戦略の考え方』をその刊行当初に読んで、この分野に関心をおぼえるきっかけを作ってくれました。『経営戦略の思考法』は、「戦略サファリ」(ミンツバーグ)などといわれもする経営戦略論に対して、異様にわかりやすい見取り図を提供してくれて便利。『組織デザイン』は、学習にとって有益である以上に、実務にとても役立っています。

ストーリーとしての競争戦略 (Hitotsubashi Business Review Books)

ストーリーとしての競争戦略 (Hitotsubashi Business Review Books)

沼上幹先生が『行為の経営学』で書いたような「意図せざる結果」を明らかにするための「行為システム」の記述による因果メカニズムの解明を、いい感じにきれいにしたような「ストーリー」は、なんかにわかには信じられないのだけど、面白さは抜群。

組織論関連

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

組織論 補訂版 (有斐閣アルマ)

首都大学東京BSの桑田先生の共著書。いかにも教科書という感じですが、幅広い話題を扱う組織論について、あまり硬くなりすぎずにひと通り理論を紹介していており、また、組織論の教科書自体がそんなにないので、便利。

キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ)

キャリアで語る経営組織 --個人の論理と組織の論理 (有斐閣アルマ)

ひとりの若者が企業に入り引退していくまでの人生 = キャリアを通して、組織論の話題についてひと通り見ていこうという本。個人的にはキャリアにあまり興味がないのですが、そういうのの方が入りやすいひとはいるとは思います。

現代組織論

現代組織論

『組織論』のもうひとりの著者による、最新の教科書。こちらはかなり学説のまとめという感じで、扱われているトピックは新しいものが多いけれども、記述は平板で、ちょっとつらかったです……。

組織の経営学―戦略と意思決定を支える

組織の経営学―戦略と意思決定を支える

いかにもアメリカの教科書という感じ。

知識創造企業

知識創造企業

スクラム」という言葉の元になった論文を書かれた野中先生の代表作。

学習する組織――システム思考で未来を創造する

学習する組織――システム思考で未来を創造する

最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か

最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か

90年代初頭に「学習する組織」ブームを築いたピーター・センゲの本。個人的にはシステム思考は非常によいツールだと思うけれども、実際に使うとなるとなかなか難しい。原著旧版と新版で翻訳が別々に出ているのだけど、上述の『知識創造企業』で旧版が批判的に紹介されていて、新版を先に読んだ記憶では的はずれな批判だと思ったので、旧版も参照するために買って読んだのでした。

公式組織の機能とその派生的問題 上巻

公式組織の機能とその派生的問題 上巻

初期ルーマンによる組織論についての本。後年になるにつれ複雑化していく社会システム理論のアイディアが、比較的平易に用いられていて(まあそれは対象が組織だからというのもあるだろうけどれども)、ルーマン入門としてもよかったように思います。

組織行動関連

職場学習論―仕事の学びを科学する

職場学習論―仕事の学びを科学する

ダイアローグ 対話する組織

ダイアローグ 対話する組織

中原淳先生の本は、アカデミックな論証ぶりと実践への強い問題意識とが融合していて、研究のしかたという意味でも、実践者としても、非常に勉強になります。『職場学習論』は、その本主張について面白いのはもちろん、IT技術者は支援を得られていないという結果が出ていて、本職としては納得のいかない気持ちになったりしましたがw

現代ミクロ組織論―その発展と課題 (有斐閣ブックス)

現代ミクロ組織論―その発展と課題 (有斐閣ブックス)

ミクロ組織論についての教科書。ひと通りその分野のトピックについてとりあげられている。

経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)

経営組織―経営学入門シリーズ (日経文庫)

働くみんなのモティベーション論 (NTT出版ライブラリーレゾナント)

働くみんなのモティベーション論 (NTT出版ライブラリーレゾナント)

リーダーシップ入門 (日経文庫)

リーダーシップ入門 (日経文庫)

金井壽宏先生の本はどれも面白い。文体は柔らかいし、話の運びも上手で読みやすい。アカデミックな蓄積をきっちり紹介しながら、実践家の「持論」とほどよくバランスを取って説明していくスタイルは、特に経営学に興味がないひとにとっても、読んで損はないと思える著作家だと思います。

1分間リーダーシップ―能力とヤル気に即した4つの実践指導法

1分間リーダーシップ―能力とヤル気に即した4つの実践指導法

状況適応型リーダーシップについて、お話仕立てでわかりやすく説いた本。この本は、読みやすいし、すごくためになるし、少なくともリーダーと目される立場にあるひとは読む必要があると思います。

ファイナンス

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

起業のファイナンス ベンチャーにとって一番大切なこと

ファイナンスについても興味があるのだけれども、なかなか苦手意識が強いので、まずはこうした本で外堀を埋めつつ学習していこうと思って読んだ本。普通にいろいろと面白くて勉強になりました。

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務 (光文社新書)

道具としてのファイナンス

道具としてのファイナンス

この著者の本は、異様にわかりやすくて、本当にためになりました。基本の基本という感じなのだろうけど、まずはここから。後者は、Google SpreadSheetで実際に表を作りながら読みました。

社会科学方法論

社会学の方法―その歴史と構造 (叢書・現代社会学)

社会学の方法―その歴史と構造 (叢書・現代社会学)

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

原因を推論する -- 政治分析方法論のすゝめ

知的複眼思考法

知的複眼思考法

社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論

社会科学のリサーチ・デザイン―定性的研究における科学的推論

リサーチ・マインド 経営学研究法 (有斐閣アルマ)

リサーチ・マインド 経営学研究法 (有斐閣アルマ)

社会科学の研究法について全然知識がないことに気づいて、方法論についての本もいくつか読みました。読んでいるとけっこうのめりこんでいて、科学哲学の本なども読み始めたので、この分野がけっこう性に合っているようです。

経営読み物

小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学

宅急便の小倉社長の本。いろんな先生がやたらほめているので読んでみました。めちゃめちゃ面白い。ほんとにここまで考えてたのかな?と疑問に思ったりもしましたが、実際考えていたのでしょう。経営者というのはすごいものだなと関心するばかり。

小説仕立てで経営戦略について具体的に解き明かした本。やたら面白い。文庫版あとがきで、実は著者自身の経験だとバラしているのだけど、そりゃそうだろうというツッコミを読んでる者みな入れたのだろうなと思って、ほほえましい。

試験当日

本来の試験日であった2/15は、前日に記録的な大雪がふったため日程が延期となり、2/22に行われることとなりました。まずは口頭試問です。時間になるとさっそく呼ばれて、面接を受けました。内容は、志望動機などを訊かれるのかとおもいきや、そうした質問はなく、研究計画書の内容についての質問と回答に終始しました。

僕としては、ソフトウェア工学的な問題というよりは経営学や組織論の問題、とりわけ計画書においてはリーダーシップ行動のような組織行動論的な関心を持っているのだということ、そうしたことを是非ちゃんと学びたいという気持ちを伝えようと試みたのでしたが、結果的にだめだったという感じですね。

小論文は、組織論を選択しました。問いはふたつあって、

  1. 企業が環境の変化に対応できずに失敗する原因を述べよ
  2. 成果主義による管理システムの利点と限界を、なんらかのモチベーション理論に基いて述べよ

というものでした。(1)については、「環境」を製品市場・資本市場・労働市場にわけ、それぞれについて変化に対応できない原因について述べました。(2)については、マズローの欲求5段階説に基いて、利点と限界について述べました。そのいずれもそれなりにちゃんと書けたとは思うのですが、だめだったようです。

受験を終えて

これまでも興味の赴くままにあれこれと手を出して学習するということを好きでやってはいたのですが、それはそれで視野が狭くもなるだろうし、一度は「研究」という、歴史と伝統のある方法に基いて学んでみたいという気持ちでいたのですが、今回の受験は失敗に終わりました。原因として以下が考えられるように思います。

  1. 僕自身の学識不足
  2. 計画書および口頭試問での、研究テーマについてのプレゼンテーションの不備
  3. 提出した研究テーマと大学院の指導内容との相違

(1)については、まあそれなりにやったつもりなので、それでダメならしかたない。またがんばるだけです。(2)と(3)については、先にも述べた通り、外見上はソフトウェア開発の話であるにしても、いわゆる組織論の中で考えていきたいというモチベーションをきちんと伝えられなかったのが敗因なのかなと思いました。

今回の受験はダメだったけれども、この分野についての興味自体は持ち続けるだろうし、またそのうち進学に挑戦することもあるかもしれません。また、短期間に集中的に学習できたのは、それはそれで今後の自分にとってきっと役に立つだろうので、よかったように思います。

2014年2月に読んだ本をブクログでふりかえる

今月は21冊。

研究みたいなことをしたことがないので、方法論的なところがよくわからないのだけど、『社会学の方法』や『原因を推論する』を読んだこともあって、社会科学方法論についての興味が湧いてきて、関連する本をあれこれと読んだ。しかし、あれこれ読んでいるといろんなひとが違うことをいっていて、それぞれに納得感があるので、結局どうしたらいいのかわからなくなってきたw

その他、「『Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広めるための48のパターン』」に書いたFearless Changeはとてもよかったし、角川文庫の安売りキャンペーンで買った『光圀伝』はめちゃめちゃ面白くてひたすら耽読した。

kentaroの本棚 - 2014年02月 (21作品)
光圀伝
冲方丁
読了日:02月09日
評価5

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グロースハッカーを募集してます

勤務先で、グロースチームのエンジニアを募集しています。

グロースチームエンジニア(正社員) | エンジニア | 職種詳細 | 株式会社paperboy&co.

求人を出すにあたって、なにかひとこと書くように、ということで書き始めたら思いのほか長くなって、社長からもつっこまれてしまいましたが、それはともかくとして、詳細は上記ページの通りです。

グロースハックについては、以下のエントリに見られる通り、このブログでも何度か話題にしました。

そのような考えをもってあれこれとやっているのですが、いろんな仕事を兼務しているので、いかんせん思うようにはことが進みません。そこで、動きをさらに加速させ、どんどん効果をあげていくために今回の求人に至ったという感じです。

グロースハックという言葉は一昨年頃から人口に膾炙し、昨今では各社の事例があれこれと紹介されているところです。その意義については……みたいな話も既に書いているので、ここではすこし技術的な話をしておきましょう。

グロースチームの方向性としては以下のふたつがあります。

  1. データ解析基盤の構築・運用・普及
  2. 各サービスでのグロースハック実施

このうち、(1)については昨年からあれこれと準備をしてきていて、基礎はある程度できあがりつつある状態です。FluentdとかTreasure Dataとかそんな感じのシンプルな構成の中に、Goで書いたサーバやRubyで書いたアプリが動いていたりします。

(2)に関しては、まさに「グロースハック」という言葉が喚起するような仕事です。こちらは最近、A/Bテストの全面的普及を通じて各サービスであれこれと行われているところですが、そうした技法を用いつつ、サービスの成長に直接寄与しようという仕事です。こちらは、グロースチームとしては、これからどんどん関わっていきたいというところ。

仕事の内容としては、上記の(1)も(2)もどっちも、です。いずれにせよ、新しいことをバンバンやる感じなので、そういうのが好きな人にはとても面白い仕事になると思います。

いきなり応募するのは……という方、まずはお話だけでもしましょう。メールやTwitterFacebookなんでもいいので、ご連絡ください。

【無料】「継続的Webサービス改善ガイド」(WEB+DB PRESS Vol.75)【公開】

以前寄稿したWEB+DB PRESS Vol.75の特集を、Web上でも読めるよう公開しました。

今日は、僕の書いた「第1章 なぜ「継続的Webサービス改善」が必要なのか~変化に対応し,10年後も生き残るWebサービスのために:継続的Webサービス改善ガイド|gihyo.jp … 技術評論社」が公開されました。

特集全体の趣旨は以下のような感じです。

本特集のテーマは「継続的Webサービス改善」です。できるだけ長い間,ユーザに価値を提供し,利潤を生み続けるWebサービスを運営するためには,継続的な改善を行うことが必要です。Webサービスを改善するには,技術的な取り組みはもちろん,開発投資とそのリターンという経営的な観点,チームビルディングなどの開発プロセス,ビジネスメトリクスへの注視など,考慮すべきことがたくさんあります。

本特集では,そもそもなぜ継続的な改善が必要なのか,どのような改善が必要なのか,どう実践していくのかという3点について,執筆陣の実際の取り組みを題材に徹底解説していきます。

およそWebサービスにたずさわっている方々にはたいていは関わりのある内容になっていると思いますので、是非ともご覧頂きたく思います。今日から1本ずつ、1周間にわたって我々の寄稿した特集の記事がすべて公開される予定です。

A/Bテストでいちばん大切なこと

「A/Bテスト」が、Webサービスの最適化技法として人口に膾炙して久しい昨今ですが、それでもなお、個々の施策実行時にはいろいろと迷うことがあります。たとえば:

  1. 有用なテスト結果を得るためにパターンをどのような基準で用意すればよいのか
  2. テスト結果の統計的有意性をどのように検定すればよいのか
  3. 個々の改善がそれぞれによかったとしても、それらが局所最適に陥らないためにはどうしたらよいのか

といったあたりが挙げられます。(2)については純粋に技術的な問題なので、ここでは議論しません。問題にしたいのは(1)および(3)についてです。ひとまず、いまのところ僕が思う一番大切なことをひとつだけ述べておきましょう。それは:

それに対してなんらかの肯定的/否定的意見のあるパターンをテストする

ということです。どういうことか。

視野狭窄的なA/Bテスト

A/Bテスト、あるいは同様の最適化技法については、かつて「グーグルのビジュアルデザイン責任者が退職--データ中心主義に嫌気 - CNET Japan」なんて記事がありました。「2種類の青色のいずれかで決めかねたら41の中間色をテストして最もパフォーマンスのよいものを選ぶ」という極端な実験は、マリッサ・メイヤー氏がYahoo!に移籍されたこともあっていまは行われてはいないようです。

昨今、A/Bテストを簡単に行えるツールが多数現れています。そうしたツールを利用すると、非常に簡単にA/Bテストを企画・実施し、結果の検定までやってくれます。便利な世の中になりました。自分でがんばってロジック実装から集計までしていた過去が、懐かしい感じです。しかしながら、そうした便利ツールの利用に際して、果たして上述のマリッサ氏的視野狭窄に我々は陥っていないといえるのでしょうか。

そのことをよく示す図が、fladdictさんによって提示されています:

お手軽さの罠

A/Bテストの成功事例として「リンクの色をちょっと変えただけで〜」とか「ボタンの色を○○に変更したしただけで〜」とか「文言を○○に変更しただけで〜」といったお手軽な改善により、劇的な成果が得られたという話が喧伝されています。それはそれで大変けっこうなことですが、そのような部分的な改善によって一時的に数字がよくなったとして、それは本質的な改善につながるものなのでしょうか。局所最適に陥る結果に終わることがありはしまいか。A/Bテストツールがお手軽になった昨今だからこそ、あらためてその点が問われなくてはならないと思うのです。

昨今、飛躍的に簡単に行えるようになってきたA/Bテストを継続的に実施しつつ、Webサービスをよりよくするために、こうした問題に適切に対処する必要があると考えます。そのための第一の指針が、先に述べた「それに対してなんらかの肯定的/否定的意見のあるパターンをテストする」です。

目的は「ユーザ価値の増大」

そもそもA/Bテストはなんのためにするのか。それは、ユーザにとってより高い価値を提供し、その結果としてより高い利益を得るためです。その基本に立ち返ると、デザイナが「ボタンの色が青か赤かどっちがいいかわかんないけどとりあえず出してみるか」といってデザインを決めたり、ディレクタが「この文言や導線がいいかどうかわかんないけど(略)」といってディレクションを終えたりなんてことはあり得ないでしょう。デザイナやディレクタとしての能力・経験・信念といったものを総動員して、ユーザにとって最大限価値を提供し得ると信ずる決定をするはずです。

その意味において、たとえA/Bテストだからといって、どっちがよりよいかという意見のないパターンをテストすることは不適切であるといえます。もちろん、Webサービス提供者がよいと思ってもユーザはそうは思わないことはおおいにあり得ることです。なので、「青か赤かを決める」という事態をより正確にいうと、Webサービス提供者は、ユーザ価値を高めるための仮説を持つということです。A/Bテストは、不確実な状況下で、その仮説を検証するために行われるべきもの。それが、「それに対してなんらかの肯定的/否定的意見のあるパターンをテストする」ということの意味です。

全体最適への仮説

パターンを仮説に基いて用意するのであれば、それはWebサービス全体においての整合性の中で検討・作成されるものであることは自明です。そうであれば、全体のデザインにとっては微妙だけど、数字が上がるかもだからテストしようということにはならないでしょう。そしてそのことが、A/Bテストが局所最適なものに終わらないようにするための条件ではないかと思います。