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Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

書評: 大竹智也・著 『Emacs実践入門 - 思考を直感的にコード化し、開発を加速する』

刊行を楽しみにしていた『Emacs実践入門 - 思考を直感的にコード化し、開発を加速する』を、ありがたくも著者のd:id:tomoyaさんより、ご恵投いただきました。そうでもなくとも発売と同時に普通に買うつもりであったので喜びもひとしお、早速読んでみました。

miyagawaさんやnaoyaさんといったPerlハッカーたち(彼らもまたEmacserですね)に感化されてプログラミングを学習し始めた2004年頃、当時なんというエディタを使っていたか記憶は定かではありませんが、Emacsを使えるようになると便利らしいと聞いてはいたものの、何度挑戦してみても挫折する日々を送っていました。プログラミングの学習だけでも負荷が高い中で、エディタの使い方も学習するというのは、なかなか大変だったように憶えています。

それがふとしたきっかけで、何度目かの挑戦でするすると(というほど簡単ではなかったけど、ともあれ)使えるようになりました。どうやったかというと「これから使い始めたい人のためのEmacs講座 全1回」というエントリでも書いた通り、ある時、一念発起してチュートリアルをひと通りやってみたわけです。その時以降、Emacsの使い方をおぼえたいというひとには、騙されたと思ってチュートリアルをひと通りやってみるようすすめています。

Emacsの入門書はいくつかありますし、それぞれによいところがあって、僕もいろいろと参照しました。また、最近ではd:id:rubikitchさんによる『Emacsテクニックバイブル - 作業効率をカイゼンする200の技』などは、Emacsをより深く使いこなしたい向きには必読でしょう。そうしたEmacsについての書籍資料はもとより、Webのリソースにも、非常に有用なものが多くあります。

本書はそのような環境の変化を前提とし、初学者が本当にいちから、それも最新の開発環境に最速でキャッチアップできるように、隅々まで配慮の行き届いた本です。Emacsのインストール方法、フレーム・ウィンドウなどの独特の概念の説明、基本的なコマンドの解説から始まり、効率的な設定方法やELPAによる最新のElispパッケージのインストール方法、各種プログラミング言語での設定・利用法まで、わかりやすく、かつ、細かくなり過ぎない説明がなされていて、初学者への新知識による負荷と学習効率のバランスがよく考えられていると思います。

ことここに至ってようやく「初学者にとって、Emacsの最上・最短の学習法はチュートリアルをひと通りやることだ」という持論が、くつがえされたように思われます。かつての僕のような、何度も挑戦してみては挫折を経験した初学者には、是非ともこの本で再度チャレンジしていただきたいと思うし、また、最近のトピックも網羅したこの本にひと通り目を通すことは、ひと昔前にいじったきり、いまや錆つきつつあるEmacsにもう一度磨きをかけることにも役に立つに違いなく、既に習得を終え、日常使いしている中級者にも一読を勧めたいと思います。

この記事は、献本に対する書評ということで、(仮に献本である旨明かさなかったとしたら)形式的には明白に「ステマ」ということになるわけですが、別にステマでもなんでもいいので、この文章がきっかけでひとりでも多くのひとが本書を読んでくださったら、それに勝ることはないと考えます。是非、ご一読を。