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Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

「桐島、部活やめるってよ」を観た

渋谷東急で、映画「桐島、部活やめるってよ」を観た。原作は、文学賞をとったのが単行本になって書店に並んでるのを見たことがあって「部活やめるとかいうどうでもいいことをタイトルに小説が書けるってすごいな」と思っただけで、特に読むこともしなかったのだけど、映画の評判がよいので観にいってきた。いくつかの瑕疵を除くと、とてもよい映画だと思った。傑作。

スクールカースト」の映画といえばそうなんだろうけど、そういう類型的なネットスラングでわかったつもりになる、短絡的な評論家ぶりが好きじゃないのであんまりそういうことをいいたくはないのだけど、しかし吹奏楽部の女の子に場所を取られていたのをどいてもらおうという場面で「文化部だからいける」という台詞にはおおいに笑ったし、むりやり持ち出したタランティーノの話題の場面の、微妙な間の空きっぷりなど、なかなか痛い感じで面白かった。

とはいえ、神木隆之介さんが演じた映画部長は、感情移入するにはちょっと映画オタクとして弱過ぎて、残念。ジョージ・A・ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」や、劇中に出てきた塚本晋也の「鉄男」、タランティーノや「ザ・フライ」「遊星からの物体X」のような、映画好きなら誰もが当たり前に観ている映画でオタクぶられても共感できないとかいう、それ自体がオタク的な感情によるものではあるけれども。まあ、一般映画で映画オタクを表現するのには、そのあたりが穏当なところなんだろうか。

大上段からの「ゴドー」的構造を群像劇という構成でまとめた演出のキレの良さは、本当に素晴しいと思う。また、ゾンビ映画がそれほど好きではない僕にとっても、クライマックスのあの場面は胸に迫るものがあって、思わず涙ぐむほどであった。願わくば、そのままペキンバー的なカタルシスでもって終わることで「青春の行き場のなさ」みたいな、この映画のテーマそのものを無下に蹴散らしたままで終わってもよかったというほど。

青春映画というからには、当然、女優陣に注目してしまうわけだけど、橋本愛さん以外知らなかったのだが、ヒロキの恋人役のイヤな子を演じた松岡茉優さんの憎たらしさ(とはいえ、あのキスシーンのつたなさはどうかと思ったけれども……)や、吹奏楽部の後輩役の藤井武美さんの爽やかな存在ぶりなど、見るべきところが多くて非常に良かった。

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)

桐島、部活やめるってよ (集英社文庫)