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Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

山内マリコ『ここは退屈迎えに来て』

ここは退屈迎えに来て

ここは退屈迎えに来て

Kindle化されていたので買って読んだ。大別すると、以下の3種類の女性の日常を描いた、地方都市がらみのオムニバス短編集。

  • 学業などで東京に出たのち、故郷の地方都市に戻った者
  • 故郷の地方都市を出て、東京で暮らし始めた者
  • これから東京などに出るかもしれない、現在地方都市に住んでいる女子高生

「ファスト風土」的な情景描写からは、それがどことははっきりわからないものの、西日本のどこかなのだろう。文章はこなれていて、それぞれの話がそれぞれに面白いし、すいすい読めた。

地方都市って住んだことがない(実家は離島なので地方都市というようなところではないし、京都はいわゆる「地方都市」という感じではない)のであんまりよくわからないのだけど、まあそんなにはぶりはよいわけでなくても、少くとも親の世代においてはそれなりにきちんと経済がまわっていて家もあり、その子供たちはいろいろと大変ながらも、実家住まいをしたりしながらなんとかやっていっている。

第1話、ふりかえられる文物の時代感が近いなあと思って読んでいたら、著者は1980年生まれであるということで、さもありなんというところ。地方都市に居をかまえる団塊の世代から10〜20下ったあたりまでの親たちとその子らは、まだこの小説に書かれるような、いろいろあるだろうけど生きる分には特に問題ない。あと30年後とかにどうなってるんだろうなあとか、そういうことばかり考えてしまう。

小説の中では、放課後も、校則おしきせのローファーを脱がない女子高生と援助交際しているハゲの38歳男が、見合いをするからこれで終わりだということに対して、その男にある種の好意を抱いていた女の子が、38歳という年齢なりの行動を取ろうなんて世俗的だとかいって嘆くところが面白かった。