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Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

塩沢茂『トヨタ自動車開発主査制度』

読んだ マネジメント

『「タレント」の時代』(asin:B00UFF0HEE) → 『トヨタの製品開発』(asin:4561520899)の流れで。

塩沢茂(1987)『トヨタ自動車開発主査制度』講談社

トヨタ自動車開発主査制度 (講談社ビジネス)

トヨタ自動車開発主査制度 (講談社ビジネス)

  • はじめに
  • 第1章 新車開発に“頂上”はない
  • 第2章 これが製品企画室だ!
  • 第3章 オーケストラのコンダクター
  • 第4章 誇れる技術があればこそ
  • 第5章 経営の安定が“名車”を生む
  • 第6章 GMに追いつき追い越せ

主査に関する10ヶ条

pp.67-69より。

  1. 主査は、常に広い智識、見識を学べ = 時には、専門外の智識、見識が極めて有効なことがある。専門といっても、要するに井戸のなかの蛙にすぎない。専門外の専門があると、別の見方で問題を見直すことができる。(雑誌を毎月何冊読んでいるか?飛行機のものなど)
  2. 主査は、自分自身の方策を持つべし = 白紙で方策なしで「頑張ってくれ、よろしく頼む」では人はついてこない。しかし、始めから出しすぎて、相手に考える余地と楽しみを与えず、固い頭で「俺のいう通りにやれ」でもいけない。少しずつ暗示を与えて、いつの間にか皆がなびいてくれる形がよい。
  3. 主査は大きく、かつよい網を張れ = 特に初期Surveyの段階でいかなる網を張るか、その方向と規模が将来の運命を決めることがある。
  4. 主査は、よい結果を得るために全智全能を傾注せよ = 5000時間級のビッグプロジェクトに、いかにして自分の総合能力を集中し、配分するか。真剣さが身体ににじみ出るようになると、人は自らついてくる。身体を張れ、初めから逃げ場を探してはならぬ。
  5. 主査は、物事を繰り返すことを面倒がってはならぬ = 自分がやっていること、考えていることが果たしてよいかどうか毎日、反省すべきである。上司に向かって自分の主張を何回も繰り返せ。協力者に、自分の意図を周知徹底させるためには、少なくとも五回は同じことを繰り返すつもりでなければならない。(寝床で復習。Carollaで700回のMeetingなど)
  6. 主査は、自分に対して自信(信念)を持つべし = ふらついてはならぬ。少なくとも顔色、態度に出してはならぬ。困ったときにも必ず妙案が出てくるものである。頑固ではいけないが……。(洗浄での司令官、R・Control A or B)*1
  7. 主査は、物事の責任を他人のせいにしてはならぬ = 体制を変えてまでも良い結果を得る責任がある。ただし、他部署に対しては命令権はない。あるのは説得力だけである。しかし、それが事実であり、逆に無限の威力を持っていると思わねばならない。他人のせいにしていいわけをいってはならない。
  8. 主査と主査付は、同一人格であらねばならない。叱りたいときは自分を叱れ。
  9. 主査は、要領よく立ちまわってはならない = “顔”を使ったり、“裏口”でこそこそやったり、“職制”によって強引に問題解決をはかったりすることは、決して長続きするものではない。必ずあとでボロが出る。(まとめることにきゅうきゅうとするな)
  10. 主査に必要な特性 (イ)智識(先生、点在)、技術力(エンジニア、組み立て、進展させる力)、経験(Levelを設定する能力)。(ロ)洞察力、判断力(可能性の)、決断力。(ハ)度量、スケールが大きいこと(経験と実績と自信より生まれる)。(ニ)感情的でないこと。冷静であること(ときには自分を殺してがまんしなければならない。怒ったら負けだからだ)。(ホ)活力、ねばり(Total Energy)。(ヘ)集中力(Pawer Timing)*2。(ト)統率力(チーム内で、相手を自分の方向になびかせることになる)。(チ)表現力、説得力(特に部外者、上司に対して。ただし、口ではなく人格)。(リ)柔軟性(特にOptionをモテ。ぎりぎりのときにはメンツにこだわらずに転身が必要なことがある。そのタイミングが問題)。(ヌ)無欲という欲(人のやったことを自分に。偉くなろうではなくて、よい仕事をしよう)。

「要するに、総合能力が必要ということです」

トヨタの技術と主査制度

p.90より。

たしかに、いかに販売力のあるトヨタであろうと、生産台数が誇れる新車の開発がおぼつかなければ、競合企業に必ずや追いぬかれてしまう。が、これまでのトヨタは、クラウン、コロナ、カローラなど世界の“名車”をつぎつぎと生み出してきた。だから今日のトヨタがあるのに、それを冷静にとらえ、評価することをせず、やれ販売力だ、財テクだ、カンバン方式だと、競合企業は別の要因を強調することでいい逃れ、トヨタを上回る新車の開発に力を注ごうとしなかった。

pp.119-120より。

「クルマは、あくまでも総合芸術であって、たとえエンジンがよくてもクルマがいいということにはなりません」

これは、トヨタ独自の車両主査制度についての認識不足をさらけ出していた。指摘どおり、たしかにクルマはそのメーカーの総合力に違いないけれど、エンジンを基本にすべての技術に波及させる強い“介在力”、それが制度として存在していたならば、話はまったく違うものにならなくてはならない。

トヨタの主査は、エンジンの軽量化によって、自分が乗りたいような新車の開発を念頭に、それをかなえてくれる技術の開発、改良をエネルギッシュに関係する部、課、さらにそれぞれの担当者にせまる。実は、これがツインカムの開発からわずか数年でトヨタの乗用車のみならず商用車までも飛躍的に進歩させた“秘密”の部分なのだ。

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*1:引用者注: 意味がわからない

*2:引用者注: ママ