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Kentaro Kuribayashi's blog

Software Engineering, Management, Books, and Daily Journal.

技術組織をスケールするためのCTL = チーフテクニカルリード

マネジメント

GMOペパボにおいて、チーフテクニカルリード(略称: CTL)という職位を作りました。既に以下のブログエントリで新任の2人がエントリを書いているところですが、制度設計者として、その背景を述べてみたいと思います。

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GMOペパボの執行役員CTOになって1年半*1、その前に技術責任者に就任してから早2年*2が経過しました。その間、組織面においては、「いるだけで成長できる環境」*3、技術面では「事業を差別化できる技術」*4というコンセプトでやってきました。まだ道半ばではあるものの、逆にいえば、通るべき道は見えているともいえます。

そんな中で、この2年間、ずっと気にかかっていることがありました。

組織的にはエンジニアの人数が90人弱になり、近いうちに100人に達することでしょう。また、技術の移り変わりはますます早くなっていき、つい先日までクラウドとかモバイルシフトとか叫ばれていたのが、いまやIoTだとか人工知能だとか、どんどんいろんな新しいアジェンダがセッティングされていきます。そんな中で、私がCTOとしてひとり技術者組織を見るものとしてあり続けるのは、会社の成長にとってよくないのではないか?ボトルネックになりはしないか?ということです*5

私が入社した4年数ヶ月前に比べると、その頃からしてもペパボの技術力は随分向上しました。これもひとえに、エンジニアを始めとする全スタッフが非常な努力を積み重ねてきた故だと思っています。いったんはCTOに評価等を含めて権限を集中することで技術指向に会社全体を向けてきましたが、そろそろ権限を移譲して組織を作っていくべき頃合いだと判断しました。また、肌感としてもそれができる人財がそろってきたとも感じています。

ペパボは、基本的には事業部制の組織形態をとっています。事業部制というのはつまり、会社のトップにはCEOがいるわけですが、そのCEOと会社という関係を個々の事業部に相似的に展開した形、つまり事業部長というのはミニCEOということになります。そのような体制を取ることにより、全社的なミッションの共有と、個々の事業における判断スピードの向上をともに実現しようというわけです。

f:id:antipop:20160904235052p:plain (ペパボのエンジニア2016より)

同じ関係が、CTOについてもあり得るでしょう。どういうことか。全社の技術的方針の策定と、その実施のための技術者組織を形成することがCTOの職務だとしたら、それを事業部ごとに移譲していくということです。会社全体を見るCEO + CTOという組に対して、会社の部分集合をなす事業部全体を見るミニCEO + ミニCTOの組が、事業部それぞれにいるという組織デザインです。といってもよくわからないので、図示してみました。

f:id:antipop:20160904235553p:plain (社内資料より)

CTLの役割については、EC事業部のCTLに就任したけんちゃんくんさんが触れているので、引用します。

「チーフテクニカルリード」(以下CTL)は今回新しく作られた職位で、役割を以下のように定義しています。

部門方針・目標に基づき、部門全体の技術選択および技術者組織 について方針を決定し、実行する。

CTOが全社の技術方針と技術者組織をマネジメントするのに対して、CTLは部署内の技術方針と技術者組織をマネジメントするミニCTOというイメージが近いかと思われます。

また、higeponさんのテックリードの記事(Tech Lead(TL/テックリード)の役割 - サンフランシスコではたらくソフトウェアエンジニア - Higepon’s blog)に当てはめると、ペパボにおけるCTLは、エンジニアリングマネージャとしての職務を中心として、事業部やチームの状況に応じてテックリードの役割も担っていくということになります。

(GMOペパボEC事業部のチーフテクニカルリードに就任しました | けんちゃんくんさんの Web日記より)

現在のところ、諸事情によりEC事業部とホスティング事業部においてCTLの新設を行いましたが、近いうちにその他の事業部においても同様の体制をとるつもりでいます。このことのより、冒頭に述べたCTOのボトルネック問題の解消とともに、それぞれの事業部内においてCTLの裁量で様々なことを決定・実行できるようになり、エンジニアがより事業の成長に貢献できるようになることを期待しています。

*1:GMOペパボの執行役員CTO、2期目

*2:GMOペパボ株式会社の技術責任者に就任いたしました

*3:「いるだけで成長できる環境」へ - ペパボテックブログ

*4:「事業を差別化できる技術」を生み出す - ペパボテックブログ

*5:もちろん、実務的にはチーフエンジニアを始めとする多くの方々の協力があってこそやってこれたわけで、別に私ひとりで何かしているということではないですが、組織構造上の問題として。